振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。


「澪ちゃんはほんとにかわいいね。」

「もう、光くんそればっかり言う……。」

「だって本当だし。」

さらっと言われて、私はますます困ってしまう。

そのあと、イルカショーの時間まで少しだけ休憩することにした。

ベンチに並んで座ると、館内の静かな音がふわりと耳に届く。

「澪ちゃん疲れてない?」

光くんが聞いてくる。

「ううん。全然。」

「ならよかった。」

そう言って、光くんは私の持っていたパンフレットを覗き込んだ。

「次、どこ行きたい?」

「えっと……。」

私は少し考える。

「サメのところ、見たい。」

「いいね。」

「あと、お土産売り場も気になる。」

「じゃあ最後に行こうか。」

「うん。」

自然に予定を立てていくその感じが、なんだか嬉しかった。

昔もこうやって、何気ないことを一緒に決めていた気がする。

そのたびに、当たり前みたいに隣にいてくれた。