振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。


「覚えてる?」

光くんが懐かしそうに笑う。

「中学の文化祭の時」

「人混みで澪ちゃん、迷子になりそうだったでしょ?」

「えっ……。」

「『どうしよう、はぐれちゃう』って半泣きになってた。」

「そ、それは……。」

恥ずかしくて思わず俯く。

光くんはクスッと笑った。


あの日。

文化祭の帰り道。

人が多くて不安そうにしていた私の手を、光くんが何も言わずに握ってくれた。

その手が温かくて。

安心して。

嬉しくて。

ずっとこのまま歩いていたいって思った。

「思い出した?」

優しい声に、小さく頷く。

「……うん。」

「すごく安心したの、覚えてる。」

そう言うと、光くんは少し照れたように笑った。

「そっか。」

その光くんの笑顔は、二年前と何も変わってないな。