振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。


「水族館好きです!」

「ほんと?」

「うん。」

小さい頃、お父さんとお母さんによく連れて行ってもらった。

静かで。

ゆっくり魚が泳ぐ景色を見るのが好きだった。

「じゃあ決まり。」

光くんは嬉しそうに笑う。

「行こっか。」

「……うん。」

駅へ向かって歩き始める。

改札を通り、並んで電車に乗る。

日曜日ということもあって車内は少し混んでいた。

座席は空いていない。

二人でドアの近くへ立つ。

ガタン。

電車が動き出す。

その拍子に身体が少し揺れた。

「わっ……。」

思わずよろける。

その瞬間。

「危ない。」

ふわっと腕を支えられた。