振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。


時計を見る。

九時四十五分。

「早く来すぎたかな……。」

周りを見渡しながら待っていると——。

「澪ちゃん。」

優しい声が聞こえた。

「……!」

振り返る。

そこには私服姿の光くんが立っていた。

白いシャツに黒のカーディガン。

シンプルな服装なのに、すごく似合っている。

思わず見とれてしまう。

「おはよう。」

光くんが少し照れたように笑う。

「お、おはよう……。」

緊張して、声が小さくなる。

そんな私を見た光くんは、一瞬だけ目を丸くした。

「……。」

「光くん?」

「……ごめん。」

「え?」

「ちょっと見とれた。」

「……っ!」

一気に顔が熱くなる。

光くんは照れたように頭をかきながら笑った。

「今日、いつもと雰囲気違うね。」

「そ、そうかな?」

「うん。」

優しい笑顔のまま頷く。