振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。


…間違いない、この人。

篠宮光先輩だ…。


「……。」

息が止まる。

どうして。

どうしてここにいるの。

篠宮先輩も部屋の中を見渡し、私を見つけた瞬間、その動きが止まった。

久しぶりに目が合う。

何年ぶりだろう。

たった数秒。

それなのに、とても長く感じた。

「光知り合い?」

誰かが不思議そうに聞く。

私は何も答えられない。

喉が震えて、声が出ない。

そんな静かな空気の中——

光がふっと目を細めた。

それは昔と何ひとつ変わらない、優しい笑顔で。


「……澪ちゃん。」

その呼び方も、

あの頃のままだった。