振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。


文化祭が終わって二日。

あんなに賑やかだった校内も、すっかりいつもの日常に戻っていた。

「はい、そこテスト範囲だからちゃんと聞けよー。」

先生の声が教室に響く。

私はノートを開いたまま、黒板を見つめる。

……見つめているだけ。

頭の中には何も入ってこなかった。

(文化祭、楽しかったな。)

思い出すのは、あの日のことばかり。

人混みの中で再会して。

二人きりで話して。

そして。

『澪ちゃん、手も変わってないね。』

優しく握られた右手。

思い出しただけで、胸が熱くなる。