「じゃあ、また連絡するね」
そう言って篠宮先輩は、ようやく私の手を離した。
指先から温もりが消えていく。
たったそれだけなのに、胸の奥が少しだけ寂しくなった。
「……はい」
先輩は何度も振り返りながら、人混みの中へ戻っていく。
その姿が見えなくなるまで、私はその場を動けなかった。
文化祭も終盤になり
校内には片付けを始めるクラスも増えてきた。
さっきまで賑やかだった廊下も、少しずつ落ち着きを取り戻している。
私は教室へ戻っても、どこか落ち着かなかった。
さっきまで繋いでいた右手を見つめる。
もう温もりなんて残っていないはずなのに。
まだそこにあるような気がしてしまう。
「澪ー!」
咲が後ろから勢いよく抱きついてくる。


