幽かな人魚

人魚が現れるという噂の海岸に行くと、人魚が優雅に泳いでいた。「人魚は本当にいたんだ!」嬉しくなってわたしは人魚に話しかけた。「わたしもあなたみたいに息継ぎしなくても泳げたらいいのになぁ」「じゃあ、あたしと同じになればいいわ」そう言った人魚に、わたしは水中に引きずり込まれた。ぶくぶくと泡が口から溢れる。泡の向こう――人魚のワンピースの下には、鰭はなく、足もなかった。