「お前さ、好きな奴とかいないの?」
ガタゴトと揺れる電車の吊り革に掴まりながら、大和がいつも通りの軽い調子で聞いてきた。
整った顔立ちに、誰からも好かれる明るい性格。
高校に入ってから、大和の隣はいつも僕――航の場所だった。
「……別に。大和はいるの?」
「俺? 内緒。まぁ、いつかお前には一番に紹介してやるよ。親友だしな」
大和がガハハと笑って、僕の肩をぽんと叩く。
「親友」。
その言葉が、嬉しくて、同時に鋭い針のように胸に刺さる。
僕が大和を好きなことは、世界中の誰にも言えない秘密だ。
もしこの気持ちがバレたら、明日から隣にいられなくなるかもしれない。
変に意識されて、この心地いい関係が壊れてしまうくらいなら、僕は一生「都合のいい親友」のままでいい。
そう自分に言い聞かせてきた。
だけど、最寄り駅に着く直前、電車が信号待ちで線路の上にピタリと止まった。
窓の外を、ライトをギラギラと光らせた快速列車が、凄まじいスピードで追い抜いていく。
「あーあ、快速は早いなぁ。俺たちの恋も、あんな風に一気に進めば楽なのに」
大和がふと、窓の外を見つめながら呟いた。その横顔が、いつになく寂しそうに見えて、僕の心臓がドクンと跳ねる。
「……大和?」
「なぁ、航。もし俺が、お前の絶対に予想できないような人を好きだって言ったら……お前、引く?」
大和の視線が、ゆっくりと僕の方を向く。
その瞳は、いつもの悪ふざけのそれではなく、ひどく真剣で、どこか怯えているようにも見えた。
各駅停車のように、ゆっくりとしか進めない僕たちの関係。
壊したくない境界線の向こう側で、大和が待っているのは、一体誰――?
ガタゴトと揺れる電車の吊り革に掴まりながら、大和がいつも通りの軽い調子で聞いてきた。
整った顔立ちに、誰からも好かれる明るい性格。
高校に入ってから、大和の隣はいつも僕――航の場所だった。
「……別に。大和はいるの?」
「俺? 内緒。まぁ、いつかお前には一番に紹介してやるよ。親友だしな」
大和がガハハと笑って、僕の肩をぽんと叩く。
「親友」。
その言葉が、嬉しくて、同時に鋭い針のように胸に刺さる。
僕が大和を好きなことは、世界中の誰にも言えない秘密だ。
もしこの気持ちがバレたら、明日から隣にいられなくなるかもしれない。
変に意識されて、この心地いい関係が壊れてしまうくらいなら、僕は一生「都合のいい親友」のままでいい。
そう自分に言い聞かせてきた。
だけど、最寄り駅に着く直前、電車が信号待ちで線路の上にピタリと止まった。
窓の外を、ライトをギラギラと光らせた快速列車が、凄まじいスピードで追い抜いていく。
「あーあ、快速は早いなぁ。俺たちの恋も、あんな風に一気に進めば楽なのに」
大和がふと、窓の外を見つめながら呟いた。その横顔が、いつになく寂しそうに見えて、僕の心臓がドクンと跳ねる。
「……大和?」
「なぁ、航。もし俺が、お前の絶対に予想できないような人を好きだって言ったら……お前、引く?」
大和の視線が、ゆっくりと僕の方を向く。
その瞳は、いつもの悪ふざけのそれではなく、ひどく真剣で、どこか怯えているようにも見えた。
各駅停車のように、ゆっくりとしか進めない僕たちの関係。
壊したくない境界線の向こう側で、大和が待っているのは、一体誰――?



