久我くんの過保護が止まらない!

人垣の向こうでは「あと五分で始まりまーす!」というアナウンスが聞こえてきた。

「あっ。」

その時だった。

陽菜の視線が、人混みの少し横へ逸れる。

参道から少し外れた石段の方。

少しだけ高くなっていて、人もそこまで密集していない。

「湊!」

「ん?」

「こっちのほうが見えそう!」

そう言うが早いか、陽菜は湊の手をぱっと掴んだ。

「え——」

返事を待つことなく、そのまま人混みをかき分けていく。

「すみません、通ります!」

「っ、アホ.....!すんません!」

浴衣の裾を押さえながら、小走りで進む陽菜。

その後ろを引っ張られるようについていく湊は、繋がれた手を見下ろして思わず目を細めた。

柔らかくて、小さな手。

いつもなら腕を引かれることくらい何とも思わない。