久我くんの過保護が止まらない!

陽菜もつられて見上げると、山の向こうはすっかり藍色に染まっていた。

「場所、空いてるかなぁ。」

「どうやろ、人多いしな」

花火大会というほど大規模ではない。

それでも、この町では一年に一度の大イベントだ。

少しでもよく見える場所を確保しようと、人の流れはどんどん一方向へ集まっていく。

陽菜は背伸びをして前を覗き込んだ。

「うわぁ……すごい人。」

「押されんようにな。」

「うん。」

二人も人の流れに乗って歩き始める。

けれど、すぐに前へ進めなくなった。

子どもを肩車したお父さん。

立ち止まって写真を撮る人。

浴衣の裾を気にしながら歩く人。

人、人、人。

「見えない……」

陽菜が小さく呟く。