久我くんの過保護が止まらない!

屋台のおじさんは腹を抱えて笑っている。

「いやぁ、お兄ちゃん自信満々やったのに、一瞬やったなぁ!」

「おっちゃん……もう少しオブラートっちゅうもんをやなぁ....?」

引きつった顔でわなわなする湊の隣で、

陽菜は笑いすぎて目尻に涙まで浮かべていた。

「あーあ、惨敗や。」

「二人ともね。」

「せやな。」

結局、勝負の結果は。

二人とも金魚ゼロ。

あまりにも見事な惨敗だった。

「じゃあ言うこと聞く勝負は?」

陽菜が首を傾げる。

「引き分けだから無しやな」

湊はそう言って小さく肩を竦めた。

「よかったぁ。」

陽菜が胸を撫で下ろす。

「っ、たく。陽菜は何想像しとったん?」

「え?」

「俺、そんな無茶言う人間ちゃうやろ。」

「それはそうだけど……」

「せいぜい荷物持って、とかそんなんや。」

「なんだ、そんなことか」

くすっと笑う陽菜を見て、湊もつられて笑う。

結局、金魚は一匹も連れて帰れなかった。

それでも、こんなくだらない勝負で笑い合える時間が、湊にとっては何より楽しかった。