その手を、もう離さない


校門を出る。

夕方特有の少し冷たい風が頬を撫でた。

昼間より静かな道。

部活帰りの生徒達が遠くで話している声が聞こえる。

そんな何気ない景色の中で、美都はふと昼休みの会話を思い出していた。

――最近、美都変わったよね。

翡翠はそう言っていた。

本当にそうだろうか。

自分ではよく分からない。

けれど昔の自分を思い返すと、確かに変わった部分はある気がする。

以前は誰かと帰ることを楽しみにしたりしなかった。

むしろ一人の方が気楽だった。

自分のペースで歩けるし、余計なことを考えなくて済む。

それなのに今は違う。

隣に誰もいない帰り道を想像すると、少しだけ物足りなく感じる。

それが当たり前になっていることに気付くたび、美都は不思議な気持ちになった。