その手を、もう離さない


レポートが終わる頃には、窓の外はすっかり夕焼けに染まっていた。

帰り支度をしながら、美都はふと思う。

頼るというのは。

もっと特別なことだと思っていた。

弱いところを見せること。

情けない部分を晒すこと。

そんなものだと思っていた。

けれど違うのかもしれない。

少し手伝ってほしいと言うことも。

隣にいてほしいと思うことも。

十分頼るということなのだろう。

そう思った時。

翡翠が嬉しそうに笑った。

その顔を見ながら、美都は小さく息を吐く。

――悪くない。

そう思えた自分に、少しだけ驚きながら。