その手を、もう離さない


「翡翠」

名前を呼ぶ。

翡翠が顔を上げた。

「ん?」

柔らかな声だった。

少しだけ緊張する。

こんなことで緊張するなんて馬鹿みたいだと思う。

それでも。

「……手伝え」

ようやくそれだけ言った。

本当ならもっと格好良く頼みたかった。

もっと自然に。

けれど無理だった。

精一杯だった。