その手を、もう離さない


迎えにきた。

たったそれだけの言葉なのに破壊力が凄い。

恋人になった実感なんてまだあまりなかった。

一緒に帰るのも前からだ。

昼休みだって前から一緒だった。

けれど今の一言だけは違う。

恋人みたいだと思った。

いや、実際恋人なのだけれど。

そんなことを考えてしまうくらいには特別だった。

「別に来なくてよかったのに」

そう言うと、翡翠は少しだけ頬を膨らませた。

「だって待ってるの嫌だったんだもん」

その言葉に胸が少しだけ熱くなる。