その手を、もう離さない


美都は何も言えなかった。

胸が苦しい。

嬉しい。

恥ずかしい。

色んな感情が一気に押し寄せてくる。

恋人になってから気付いたことがある。

翡翠は時々、何気ない顔でとんでもないことを言う。

そして言った本人は全く気付いていない。

今だってそうだ。

こんなの反則だろ。

そう思う。

けれど嫌じゃない。

むしろ何度でも聞きたいと思ってしまう。

そんな自分が少し情けなかった。