その手を、もう離さない


「それにね」

翡翠は少し楽しそうに続ける。

「前よりいっぱい話してくれる」

その言葉に美都は黙り込んだ。

昔の自分を思い出す。

確かに人と話すのは得意じゃなかった。

必要以上に関わろうともしなかった。

誰かに自分のことを話すなんて論外だった。

けれど今は違う。

翡翠には話している。

今日あったことも。

考えていることも。

少しずつだけれど。

自然と気付けばそうなっていた。

それが翡翠だからなのか。

恋人だからなのか。

たぶん両方だ。

「……お前だけだろ」

気付けばそう呟いていた。

翡翠が瞬きをする。

「え?」

「話すの」

そこまで言ってから後悔した。

また余計なことを言った。

本当に最近の自分は口が軽い。