その手を、もう離さない


意味が分からなかった。

優しい。

誰が。

自分が?

頭の中で言葉が上手く繋がらない。

美都は眉を寄せた。

「は?」

思わずそんな声が出る。

けれど翡翠は笑ったままだった。

「だって最近の美都、ちょっと違うもん」

違う。

そう言われても自覚はない。

今まで通りだ。

学校へ来て。

授業を受けて。

昼休みにここへ来て。

一緒に帰る。

何も変わっていない。

そう思うのに、翡翠は首を横に振った。

「前より表情出るし」

「出てない」

「出てるよ」

即答だった。

その答え方が妙に悔しい。

しかも否定しきれない自分がいる。

最近の自分は、確かに少しおかしい。

感情が顔に出ている自覚もある。

けれど、それを本人に指摘されるのは別問題だった。