その手を、もう離さない


昼休み。

美都はいつもの踊り場へ向かった。

雨の日の昼休みは少し静かだ。

屋上へ行く生徒もいない。

窓を開ける人もいない。

聞こえるのは雨音だけ。

扉を開くと、翡翠はもう来ていた。

そして美都を見るなり、小さく笑う。

その笑顔がどこか優しかった。

まるで何かを分かっているみたいに。