その手を、もう離さない


「神城、おはよ」

友達に肩を叩かれ、美都は慌てて前を向いた。

「……ん」

短く返事をする。

すると相手は不思議そうな顔をした。

「なんか機嫌よくね?」

思わず咳き込む。

機嫌がいいつもりはない。

けれど否定もできなかった。

昨日から胸の奥にある温かさが消えないのだ。

理由は分かっている。

翡翠だ。

恋人になった。

たったそれだけ。

それだけなのに、世界が少し優しく見える。

そんな自分が少し可笑しかった。