その手を、もう離さない


「私はね」

翡翠が窓の外を見る。

風が吹く。

柔らかな光が差し込む。

「もっと何か変わると思ってた」

その言葉に美都は顔を上げた。

翡翠は少しだけ困ったように笑っている。

「恋人になったらもっと特別になるのかなって」

そう言って照れたように笑う。

その表情が妙に愛しかった。

自分だけじゃない。

翡翠も同じことを考えていたのだ。