その手を、もう離さない


「ねぇ」

不意に翡翠が口を開く。

楽しそうな声だった。

「恋人の特権って何だと思う?」

美都は思わず眉を寄せた。

また難しいことを聞いてくる。

けれど翡翠は真面目だった。

本気で考えているらしい。

恋人の特権。

頭の中でその言葉を転がしてみる。

手を繋ぐことだろうか。

違う。

それは前からしていた。

一緒に帰ることだろうか。

それも違う。

昼休みを一緒に過ごすことだって昔からだ。