その手を、もう離さない


踊り場の扉を開く。

すると、窓際にはもう翡翠がいた。

その姿を見た瞬間、胸の奥にあった小さな不安が綺麗に消える。

安心した。

その感情が一番近かった。

翡翠はこちらに気付くと、ぱっと表情を明るくした。

嬉しそうだった。

その顔を見るだけで、美都まで少し嬉しくなる。

不思議だった。

昔なら考えられない。

誰かの笑顔一つで気持ちが変わるなんて。

けれど今は違う。

翡翠だからだ。

好きな人だから。

いや。

恋人だから。