その手を、もう離さない


沈黙が落ちる。

けれど嫌な沈黙じゃない。

むしろ心地良かった。

窓から風が吹き込む。

ページが揺れる。

遠くからグラウンドの声が聞こえる。

そんな何気ない時間の中で、美都はふと思った。

触れたい。

その感情に気付いた瞬間、自分で驚く。

今までなら考えもしなかった。

けれど今は。

翡翠の温もりを、もう少し近くで感じたいと思ってしまう。