その手を、もう離さない


「神城くん」

呼ばれる。

いつもの声。

けれど少しだけ柔らかい。

たぶん気のせいじゃない。

恋人になってから、翡翠も少し変わった。

前より素直になった気がする。

嬉しい時は嬉しそうに笑うし。

寂しい時は寂しそうな顔をする。

そして。

美都の名前を呼ぶ回数も増えた。

それが嬉しいと思ってしまう自分がいた。