その手を、もう離さない


翡翠はいつもの場所に座っていた。

窓から差し込む光を受けながら、本を読んでいる。

その姿を見た瞬間、美都の胸の奥が少しだけ温かくなる。

安心した。

その言葉が一番近かった。

翡翠も気付く。

顔を上げる。

そして。

ふわりと笑った。

その笑顔を見るだけで満たされる自分がいることに、美都は未だ慣れなかった。