その手を、もう離さない


昼休み。

踊り場へ向かう途中、美都は自分でも笑いたくなった。

たった数時間会っていないだけなのに、早く会いたいと思っている。

昔の自分なら絶対にありえなかった。

誰かに会いたいと思うことも。

誰かとの時間を楽しみにすることも。

全部無縁だった。

なのに今は違う。

扉を開けた瞬間、そこに翡翠がいることを期待している。

そんな自分がいる。

そして。

その期待は裏切られなかった。