その手を、もう離さない


二人は並んで歩き始めた。

夕方の街は少しだけ赤く染まっている。

通り過ぎる人達の影も長い。

いつも歩いている帰り道なのに、今日は妙に静かだった。

いや。

静かなのは周りじゃない。

自分の方だ。

さっきから変なことばかり考えている。

どうして目で追ってしまうんだろう。

どうして友達と話している姿が気になったんだろう。

考えなくても答えは分かっている。

分かっているのに認めたくなかった。

認めたら。

自分が思っている以上に重い男だと気付いてしまいそうだったから。