その手を、もう離さない


「ねぇ」

翡翠が少し身体を傾ける。

距離が近くなる。

無意識なのだろう。

本人はたぶん気付いていない。

けれど美都は気付く。

気付いてしまう。

最近は特に。

「美都ってさ」

その声が近い。

妙に近い。

「分かりやすいよね」

意味が分からなかった。

いや。

意味は分かる。

けれど認めたくない。

「どこが」

低い声で返す。

すると翡翠は少し考えるように首を傾げた。

そして。

「私のこと好きなの」

そう言って笑った。