その手を、もう離さない


「神城、また橘のとこ行ったぞって言われた」

翡翠は悪気なくそう言った。

本当に悪気なく。

だからこそ破壊力があった。

美都は数秒固まる。

そして静かに顔を逸らした。

耳が熱い。

絶対に赤くなっている。

「……知らん」

ようやく出た言葉はそれだった。

けれど翡翠は笑う。

まるで面白いものを見つけたみたいに。

「みんな気付いてるんだね」

嬉しそうに言う。

本当に困る。

どうしてそんなに嬉しそうなんだ。

普通は恥ずかしくないのだろうか。

少なくとも自分は恥ずかしい。

かなり。