その手を、もう離さない


美都が自分の変化に気付いていないだけで、周囲は少しずつ気付き始めていた。

その日も昼休みのチャイムが鳴る。

すると美都は当たり前のように席を立った。

迷いがない。

むしろ最近はチャイムが鳴る前から時計を見ていることさえある。

本人は無意識だ。

完全に。

けれど毎日見ている人間からすれば分かりやすかった。

「神城、また行くのか」

友達の一人がそう言う。

美都は足を止めることなく振り返った。

「何が」

「昼休み」

「昼休みだからだろ」

意味が分からないという顔だった。

実際、美都にとっては本当に意味が分からなかった。

昼休みに移動することの何がおかしいのか。

しかし友達は笑っている。

その笑い方が妙に引っかかった。