その手を、もう離さない


「好きな人のことなら見るでしょ?」

そう言って首を傾げる。

当然という顔だった。

美都は小さく息を吐いた。

たぶん勝てない。

こういう時だけは。

言葉で敵う気がしない。

けれど同時に思う。

嬉しい。

どうしようもなく。

自分の知らないところで見ていてくれる。

変化に気付いてくれる。

そんな人がいることが。

昔なら想像もできなかった。

誰にも踏み込まれたくなかった自分が、今はその視線を心地良いと感じている。