その手を、もう離さない


「翡翠」

不意に名前を呼ぶ。

翡翠が顔を上げる。

「ん?」

その返事を聞きながら、美都は少しだけ考えた。

どうしてそんなに分かるんだろう。

どうしてそんなに見ているんだろう。

答えは分かっている。

分かっているのに聞きたくなった。

確認したくなった。

「……よく見てるな」

ようやく出た言葉は、それだった。

翡翠は一瞬きょとんとする。

そして次の瞬間、ふっと笑った。