その手を、もう離さない


「最近ね、よく笑うの」

翡翠は嬉しそうに続ける。

「私が変なこと言った時とか」

「一緒に帰ってる時とか」

「あと雨の日」

そこまで言われて、美都は思わず目を逸らした。

全部覚えられている。

そんな細かいことまで。

普通そこまで見ているだろうか。

いや。

見ているのだろう。

自分も同じだから。

翡翠のことなら覚えている。

些細な変化も。

小さな表情も。

気付いてしまう。

好きだから。

その事実を思い出した瞬間、胸の奥が少し熱くなった。