その手を、もう離さない


全部、翡翠のせいだ。

そう思った瞬間、美都は小さく眉を寄せた。

もちろん口には出さない。

そんなことを言ったら、翡翠はきっと嬉しそうに笑う。

そして自分はもっと居たたまれなくなる。

だから黙る。

黙ったまま窓の外へ視線を向けた。

けれど隣からは遠慮のない視線を感じる。

見られている。

確実に。

その事実に気付いているのに、美都は知らないふりをした。

「絶対増えた」

ぽつりと翡翠が言う。

まだ続くのか。

そう思いながら横を見ると、翡翠は真剣な顔をしていた。

「何が」

「笑う回数」

即答だった。

その答えに美都はため息を吐く。

本当に納得していないらしい。