その手を、もう離さない


少し沈黙が落ちる。

けれど気まずくはない。

むしろ心地良かった。

二人並んで歩く。

影が夕暮れの道に長く伸びていた。

ふと。

美都はあることに気付く。

歩く速度だ。

昔は一人だった。

だから誰かに合わせる必要なんてなかった。

自分のペースで歩いていた。

けれど今は違う。

隣に翡翠がいる。

自然と歩幅を合わせている。

合わせようとしているわけではない。

気付けばそうなっていた。

その事実に小さく驚く。

こんな風に誰かと並んで歩く未来を、昔の自分は想像もしなかっただろう。