その手を、もう離さない


「でもね」

翡翠は続けた。

夕陽が横顔を照らしている。

長い睫毛が影を落とす。

美都は自然とその横顔を見つめていた。

「頼られるの、好き」

少し恥ずかしそうに笑う。

その顔を見た瞬間、心臓が跳ねた。

反則だろ。

そう思う。

本当に。

こんな顔でそんなことを言われたら、何も返せなくなる。

「……変わってるな」

ようやく出た言葉に、翡翠は吹き出した。

「ひどい」

「事実だろ」

「ひどい」

同じ言葉を繰り返しながら笑っている。

その声を聞いていると、不思議と胸の奥が温かくなった。