その手を、もう離さない


誰かに頼る。

その言葉だけなら簡単だ。

けれど実際は違う。

美都にとって、それは昔から苦手なことだった。

頼れば期待してしまう。

期待すれば裏切られるかもしれない。

だったら最初から一人で抱えた方が楽だ。

そうやって生きてきた。

だから翡翠と出会った時も同じだった。

最初は距離を取っていた。

踏み込ませないように。

自分の中へ入ってこないように。

けれど気付けば全部崩されていた。

雨の日も。

苦しい夜も。

不安な時も。

翡翠はいつも隣にいた。

無理に聞き出そうともしない。

勝手に踏み込もうともしない。

ただ必要な時に手を差し伸べてくれた。

だからなのだろう。

今こうして少しずつ頼れるようになったのは。