限界王子様に「構ってくれないと、女遊びするぞ!」と脅され、塩対応令嬢は「お好きにどうぞ」と悪気なくオーバーキルする。

「あの人を……不幸にしたかったの。結ばれた女が死んでも、薬を打って賭け事に溺れさせても、何の気も晴れなかった……だから、思ったのよ。きっと、私は母親側の方が許せなかったんだって……けれど、あの女は死んでしまった。だから、そっくりな娘を不幸にしようと思ったの。貴女には、何の責任もないんだけど」

 お父様に捨てられて、ただ意地だけで高い身分をと望んだ夫は、彼女を愛さなかった。イエルク様は、ギャレット様のお母様を愛していて……ただ、血筋を守るためだけに、二人目の息子を必要としただけだから。

「理解出来ません……そんなことをしても……」

 私は言いかけて、そして口を噤んだ。

 無意味なことをしているというのなら、私だって同じことをしようとした。

 そんなことをしても何の意味もないことは彼女本人が一番にわかっているのだ。私が何かを言ったところで思い直すようなら、こんなことはしていない。

 思い通りに動かない他人に復讐するより、自分の幸せを追いかけた方が良い。それは、理解をしている。

 それなのに、そうだとわかっても、どうしても復讐を遂げることを選んだのだ。