限界王子様に「構ってくれないと、女遊びするぞ!」と脅され、塩対応令嬢は「お好きにどうぞ」と悪気なくオーバーキルする。

「そうか……! 悪かった。すぐに代わりの物を作らせよう。俺は何も知らない。ローレン。君から教えて欲しい……もしかしたら、心配しているのかもしれないが、別に国を治めるのが仕事の王族だからとて、俺にも個人資産がない訳ではない。だから、君の借金も言ってくれれば、すぐに俺が工面しただろう」

「え? ……ギャレット様って、個人的にお金持ちなんですか?」

 ギャレット様は、一国の主となる王太子様だ。けれど、代々伝わる宝飾品や国宝は国有の資産になるだろうし、彼の勝手に動かせるものではないだろう。

「実は俺は若い頃、冒険者の真似事をしたことがあってな。懸賞金のかかった悪い竜も、何匹か退治したことがある」

「……え?」

 彼が剣の達人であることは、皆が知る通りだ。だから、それも聞けば納得出来る……出来るけど……命の危険があるのに、王太子が自ら竜退治したの?

「それって、怒られませんでした?」

 くすくすと笑って私が言えば、ギャレット様はため息をついて頷いた。