限界王子様に「構ってくれないと、女遊びするぞ!」と脅され、塩対応令嬢は「お好きにどうぞ」と悪気なくオーバーキルする。

「いくら名高い剣の使い手だろうが、頭から巨石を落とされたらどうする。防げる訳もないだろう。人を殺す方法なんて、いくらでもあるぞ……一騎当千と呼ばれている戦士だろうが、不意をついて計画的に殺そうと思えば、どんなに武芸に長けていようが殺される」

「イーサン」

 咎めるように言った私に、イーサンは肩を竦めた。

「まぁ、ローレンはこれを聞いても、関係ないよな。お前はろくでなしの父が作った借金を返して、弟が侯爵になれればそれで良いんだろ? 騙され裏切りにあった王子が一人死んだとても、悲しみもせず眉ひとつ動かさないんだ。家族のために」

「……イーサン!」

 悲鳴のような声を出した私に、イーサンはうるさげな様子で耳を塞ぐ振りをした。

「……なんだよ。そんな……未練たらたらの顔をしやがって。王妃の言うとおりあの王子を捨てたら、ローレンの望むものが、すべてが手に入ったんだろ。これ以上、何を望む?」

「イーサン……私……行くわ。ごめんなさい。貴方と結婚は出来ない」

 今この決断を、未来の私は後悔するだろうか。それでも良い。ここでもし、行かないことを選んだら、一生後悔する。