限界王子様に「構ってくれないと、女遊びするぞ!」と脅され、塩対応令嬢は「お好きにどうぞ」と悪気なくオーバーキルする。

「いいや、これは嘘じゃない。王妃に殺されるかもしれないぞ。あの人は俺を人と思っていないからな。物同然だ。叙爵の話を聞きに行ったら、大事な話を誰が聞いているのかも気にせずしてくれたよ。今はギャレット殿下は、気分を変えるために離宮へと旅行中だと……失恋旅行だろ。どう考えても」

 王妃にしてみれば、平民であるイーサンを人と認識していないっていうこと? ひどい。そういう国民が居なければ、彼女だって王族だと大きな顔が出来ないはずだ。

 ギャレット様は、誰もを等しく扱っていた。彼は優しくて……私は婚約者だから、そんな彼に特別に優しくしてもらえた。それなのに、裏切った。

「……まさか。あの人は武道大会で、毎年優勝しているのよ。そんな彼を、誰がやすやすと殺せるというの」

 そうよ。彼はそれほどの凄腕の剣の使い手で、だからこそ国民の人気も熱狂的だった。彼を捨てて逃げた私を、国民の誰もが恨んでいるくらいに。