登場人物日記

 今日はもう授業はなくて、桜木学園にもしばらく行かない。次の標準登校日は九月だ。
 でも私は、ドラマ撮影があるので明日も登校する。
 さっき、藤堂くんからもらったCDの中に録音された音楽を聴いたんだ。
 
 紅の涙は、平安時代、紫式部に恋をしのちに夫となった藤原宣孝の恋文に、花びらとともに書かれていた彼の言葉だ。
 藤堂くんが録音したであろう旋律たちが、私が桜木学園のドラマ撮影で演じる紫式部を形作っていく。そんな感覚が芽生えた。
 
 いつの間にか止まった音。
 CDを取り出し、ケースにしまう。そしてふと、ケースに藤堂くんのメモが挟まっているのに気づいた。

志津音へ
紅の涙は知っているか? 藤原宣孝が紫式部に宛てた手紙に書かれていた言葉だ。この曲は、俺が志津音に抱いた恋心の象徴だ。
今度の撮影も楽しみにしているから。
じゃあ、また会おう。
藤堂蓮太

 という感じで書いてあった。
 明日、楽しみだな。
 
 7月20日 光間志津音