放課後空はまた曇っていた。 台風は過ぎたはずなのに小さな雨が降り始める。 ぽつり。 ぽつり。 翡翠が空を見上げる。 そして少し笑った。 「また雨だね」 美都は何も言わない。 ただ翡翠を見る。 昇降口で傘を開くと翡翠が右手を差し出す。 もう当たり前だった。 雨の日。 特別。 二人だけの約束。 美都はその手を見る。 何度も握った手。 自分を救ってくれた手。 そしてゆっくり握る。