翌日の昼前授業中だった。
突然教室の扉が開く。
担任と保健室の先生。
ざわつく教室。
「橘翡翠」
名前が呼ばれる。
翡翠が立ち上がる。
少し顔色が悪かった。
「弟さんが熱を出したそうです」
教室が静かになる。
翡翠の表情が変わった。
「緋色が?」
「保護者の方と連絡がついてないそうで」
翡翠はすぐ立ち上がった。
「行ってきます」
焦った声だった。
美都は黙って見ていた。
翡翠が慌てて教室を出ていく。
珍しかった。
あんな顔。
いつも落ち着いているのに。
授業が始まる。
でも集中できない。
気になる。
緋色が心配なのもある。
でもそれだけじゃなかった。



