【二百文字】怪談集

田他里町の駅前噴水は恋が叶うことで有名だ。
昔、この場所は川で、恋人たちの心中の名所だったらしい。
私も百円玉を投げた。キラキラと光っている。
「先輩と結ばれますように」

翌日、本当に先輩から告白された。

その夜、塾の帰り噴水の前を通ると、水底から知らない若い男の声が途切れ途切れに聞こえた。
「次こそ必……ず、来世……で結ばれ……ようぞ」
噴水の底には、百円玉ではなくさびた古銭が沈んでいた。