【二百文字】怪談集

「田他里町の横断歩道は、白い線だけを踏んで渡ること」
スマホを見ていた私は、うっかり黒いアスファルトに足がついた。
瞬間、足が沈んだ。隙間から白い手が伸びてきた。
パニックになる私に交通安全協会の緑の旗が振られた。
いつも優しいおじいちゃんが、にこにこと笑いながら旗で私をさらに奥へ押し込む。

「歩きスマホはルール違反だよ」

純粋な善意の笑顔。
後ろでは、信号待ちの小学生たちが拍手していた。