今さら意識するなんておかしい。
そう思うのに。
皐月の優しい笑顔が頭から離れなかった。
翌朝。
私は鏡の前に立っていた。
制服を整えて。
髪をとかして。
そして――眼鏡に手を伸ばす。
「……。」
鏡の中の自分を見つめる。
中学校に入る前、兄に視力が悪くもないのに無理やり眼鏡を掛けさせられて以来だ。
昔は嫌だった眼鏡だけど今では安心材料だった。
これは注目されないためのもの。
目立たないためのもの。
でも。
昨日、皐月に言われた言葉を思い出し
『もっと俺を信じてよ。』
その言葉が胸の奥に残っていた。

