強引じゃない。
まるで逃がさないかのように。
でも痛くないくらい優しく私の手を掴む皐月に思わず息を呑んだ。
「さ、皐月……?」
見上げると、皐月も少し驚いたような顔をしていた。
自分でも無意識だったのかもしれない。
それでも手は離れない。
夕焼けに照らされた横顔が少しだけ赤く見えた。
「急にごめん。」
そう言いながらも。
皐月は掴んだ手を離さなかった。
「……また逃げられるかと思った。」
その声は少しだけ寂しそうだった。
胸がきゅっと締め付けられる。
私は何も言えない。
言葉が見つからない。
皐月は小さく息を吐いて、ようやく手を離した。
「もう少しだけ、俺の話を聞いてくれる?」
優しく言われて。
私は小さく頷くことしかできなかった――。

